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テリーの友達

今もそうだけど

小学校の頃は輪をかけて

友達がいなかった。

家、教室、図書室、校舎裏を

一人でグルグルめぐってくのが

僕の日常だった。



そんな僕の通学路に

ごく普通の平屋の家があった。

地面から1m位のブロック塀の上に

アルミの柵が刺さっている垣根で

隙間から広めの庭と小さな池と

赤い屋根の犬小屋が見えた。

犬小屋の家主の名前はテリー。

ゴールデンレトリバーの成犬で

僕が物心つく頃には

すでにテリーはテリーだった。

柵のむこうから名前を呼ぶと

飛んできて

隙間から差し出す僕の手を舐めてくれた。

僕の犬好きはこの原体験が元かもしれない。

僕はテリーが大好きだった。

その家の人にはあったことも無いけど

テリーはいつでもいた。

だから登校時に、下校時に

いつでも通りがかるたびに

名前を呼び手を舐めてもらってた。

通りがかった時だけじゃない

母さんの帰りが遅くて寂しくなった時も

いじめられてやるせなかった時も

取って置きのお菓子を食べる時も

家から飛び出して

テリーのところに行った。

その頃の僕は

テリー以外に対等な話し相手がいなかった。

だから僕はテリーを友達だと思っていた。

声に出すと恥ずかしいから

頭の中でいろんなこと

どんな事でもいっぱい話しかけた。

手を舐めながら

テリーは視線をくれた。

僕は真剣にテリーには

思いが通じていると思ってた。

そうやってテリーは

小学生の僕を支えてくれた。



中学になっても

友達のいない僕は

テリーの所に定期的に行っていた。

僕の腕には柵の隙間が少し狭くなったと

感じ始めたその頃には

テリーはもうおじいさんだった。

名前を読んだらヨボヨボと

歩いてくるようになった。

でもちゃんと

かわいた舌でゆっくり舐めてくれた。



中二の秋口、

深夜ラジオを聴き始めた僕は

ある日の放送を聞いた後

眠れずに散歩に出かけた。

午前3時過ぎだった。

自然とテリーの所に足が向いた。

こんな時間でも相手してくれるのは

いつでもテリーだけだった。

柵の前まで来ると

張り紙が貼ってあった。

テリーの飼い主さんが書いたものだった。

テリーは数日前に静かに息を引き取った事と、

今までかわいがってくれた皆さんへの

感謝がつづられていた。

その内容を理解した瞬間、

僕は心臓がぎゅーっと縮んでいくような

苦しい気持ちになった。

いつもテリーが鼻を突き出していた

柵の隙間から目が離せなくなった。

どれぐらいそうしていたかはわからない。

そのうち何も考えずに歩き始め

夜が明けるまでさみしい散歩をした。



高校に進学した時

新しい友達ができるかなんて

いつも通り期待してなかった。

入学して最初の土曜日、

帰る前に校内で一人でいられる

おもしろい場所を探して

ウロウロしていると

中庭のベンチで声をかけられた。

同じクラスの男子だった。

嫌われないように

目立たないように

頭をフル回転させながら

互いの事を話しているうち

地元が同じだということがわかった。

小学校も同じだったが

引っ越してしまったのだとか。

不意に彼が、『名前を呼ぶと

手を舐めてくる犬』が近所にいたのを

覚えていると言った。

僕は内心驚きながら

テリーという名前かと聞いた。

すると彼も驚きながら

そうだと言った。

前の小学校のことは

良く覚えてないけど

テリーのことは印象に残っているって。

夜中に家を抜け出し

会いに行ったこともあるらしい。

彼もテリーの友達だったんだ。

彼は後に僕の初めての

人間の友達になってくれた。



僕は目に見えない物事には

懐疑的だけど

僕らの関係は

テリーが取り持ってくれたって

考えるようにしてる。

だってそうしたほうが

テリーが生きてた甲斐があるでしょ?

あまりに社交性の無い僕に

あきれてやってくれたんだ

たぶん。



その彼には

今度僕の作ったカレーを

食べてもらうことになっている。

テリーの友達同士は

今でも仲良くやっているよ





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非公開コメント

(^^)

よかったですねe-319

Re: (^^)

>あいさん

一人でも平気と言っていられるのは
彼とたまに会えるからかもしれません。

僕とかかわりをもってくれる人に対しては
とても感謝と尊敬の念を持っています。
テリーもそう願っていると
思うことにしています(笑)
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