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輝く月の中は…

しばらく前

ものすごく月が

でかくて赤い夜があった。

僕はうれしくなって

会社終わりに川原へ

自転車を飛ばした。

途中で買った

あまいコーヒー牛乳を

飲みながら川面に

うつって揺れる月を

気が済むまで見てた。



ふと視線をあげると

対岸の土手の上を

ランナーが走っているのが

小さく小さく見えた。

ランナーはそのまま

こちらへかけられた橋を

わたってきた。

ミニチュアのようなランナーが

街の明かりを背に受けて

もぞもぞと動きながら

橋の上を移動していく様に

なんとなく目を離せなくなった。

川辺にいた僕からは

ちょうど月がその橋の上に

乗っかるような感じで見えていた。

ランナーが橋の中腹まで来た時

遥か地平に浮かぶ

赤くて大きな月の中に

入って溶けた。

小さいランナーは

何事も無かったように

月の中から出てきて

橋をわたりきって

見えなくなってしまった。

僕はその一連の絵が

とってもきれいに見えて

しばらく見ほれてしまった。

どうしても僕も

月の中に入ってみたくなったので

橋の上に行くことにした。

自転車で土手を駆け上がって

体勢を斜めにしながら

猛スピードで橋へ入る。

すごく気分が高揚してた。

ランナーが月に入った

橋の中腹までくると

はたと気づいた。

たぶん月に入ったであろう

僕の姿を見てくれる

人がいないんだ。

自転車を止めて

柵に足をかけ

たぶん僕がいたあたりを見た。

ところどころ芝生がはげていて

月明かりに照らされて

寂しく見えた。

橋が影を落としている

手前側は

気味悪くさえ感じた。

月の中である橋の上は

貼り付いて黒くなった

ガムと吸殻

潰れた甲虫の死骸があった。

何の変哲も無い橋の上だった。

当たり前だ。

橋の下から

沈めた心で見上げないと

この橋は輝かない。



でもそんなに

残念ではなかった。

そらそうだって笑ってしまったし

橋の上から見る

月もまたきれいだった。



輝いて見えるものは

その実、見た目ほど

きれいなわけじゃない。

でもそこから見える

向こう側の景色は

その場所なりの

美しさがあるんだなぁ。





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